2017年1月23日月曜日

RCEP神戸会合に向けて


 米国でトランプ新大統領が誕生した1月20日、米国政府はTPPの離脱とNAFTAの再交渉を政策として掲げました。TPPの行方は今後も不透明ですが、自由貿易推進の流れは変わりません。市民社会としては引き続き様々な自由貿易協定に注意を払い、人々の声を届けていく必要があります。

 このたび、日本も参加するいわゆるメガFTA(経済連携協定)であるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の第17回交渉が、2017年2月27日~3月3日まで、神戸ポートアイランドにて開催されることが決まりました。RCEPには、ASEAN10カ国に日本、韓国、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた計16カ国が参加しています。

 RCEPについては、日本国内でもほとんどの方が知りません。2013年から交渉が重ねられてきましたが、TPPと同じように秘密交渉であり、日本政府のウェブサイトにはほとんど内容についての情報はありません。またマスメディアも報じないため、多くの人がRCEPの存在すら知らない状態です。

 国際NGOは、2013年以降、RCEP協定文のリーク文書を分析したり、各国の市民社会組織と情報共有や議論を重ねてきました。その議論を踏まえれば、RCEPにはWTOやTPPでなされた合意水準がいくつも盛り込まれようとしており、そのことを最も推進している国の一つが日本であるということです。

 TPPと異なり、RCEPにはいわゆるグローバル企業の強い影響や、米国政府のような強烈な主張をする国はいないように見受けられます。しかし実際には、途上国(特に後発後進国LDCであるカンボジア、ミャンマー、ラオス)にとってのRCEPは、貧困や格差を増大させ、医薬品アクセスを困難にし、ISDSのような投資家に有利な裁定システムによって公共政策のスペースが狭められる危険が極めて高いといえます。

 2月のRCEP会合が神戸で開催されるにあたり、私たち日本の市民社会組織は無関心ではいられません。まずは政府に正確な情報公開を求めることから始め、RCEPの全体像を把握し、問題点を広く訴えていくような活動を、会議期間中に開催したいと考えています。さらに、どのような貿易のあり方が、先進国・途上国を含むすべての人々にとって本当に有益なのか、そのためには貿易のルールをどのように変えていけばよいのかも含めて、市民社会の中で議論できるきっかけとなるよう考えております。

 神戸での会合開催が決まった2016年12月以降から数団体で協議を行ない、このたびNGOや労働組合、市民団体が協力して、「RCEPに対する国際市民会議」を立ち上げることといたしました。交渉会合の会期中には、神戸現地にて海外からのNGOとも一緒にいくつかの取り組みを計画しています。

2017年1月19日木曜日

ウェブサイトを開設しました


RCEP交渉会合に対する国際市民会議のウェブサイトを開設しました。